自然


ページ番号1000060  更新日 2016年3月31日


本館で収蔵・公開している標本は、現在の府中で見られる動植物が主体となっています。ただし、過去の環境下に生息していた消滅種、近年出現している外来生物を含めた新参種を加えながら、自然の変遷が考察できるような意図も含めた収集を行っています。 この頁では、その中でも話題性のある貴重種を選んで紹介します。

ムサシノキスゲ(レプリカ)

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高山植物のゼンテイカ(ニッコウキスゲ)が低地に降りた型で、府中市の浅間山のみに自生している変わり種です。檜山庫三著『武蔵野植物記』(1953年)の中で初めて紹介され、現在も毎年5月の連休をピークに咲き続けています。何故に高山帯の植物がこのような平野部に自生するのかは明確ではありませんが、いくつかの説がある中で、氷河期に分布を広げたニッコウキスゲが温暖化とともに低地に取り残され、独自の適応を遂げたという考えが有力視されています。

カワラエンマコオロギ(標本)

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昭和2年に多摩川関戸橋の下で発見された、非常に珍しいコオロギです。国内には4種類のエンマコオロギが生息しますが、その内、北海道に多産するエゾエンマコオロギと同一種類のものです。ところがこのエゾエンマコオロギとは、鳴き声のリズムが異なっていたため、あえてカワラエンマコオロギと言う俗名で呼ばれるようになりました。発見から6年で生息範囲を狭め始め、昭和46年以降には姿を消してしまいました。

オオキトンボ(標本)

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赤トンボの仲間では最も大型の種類です。1960〜70年代にかけて急速な都市化が進み、池沼や湿地が埋め立てられたため、全国的に絶滅の危機に瀕しました。関東地方でも1970年以降の確認記録は少なく、特に東京に限ってはそれよりも早く、1960年以降の記録がありません。ところが、市内には1975年から84年まで多摩川河川敷の一部にて生息していたと言う独自の報告がされています。もちろん現在では全く見られません。

オオタカ幼鳥(剥製)

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現在、絶滅危惧種に指定されている鳥として、大変貴重な標本です。2003年8月9日、当館敷地内でカラスに襲われた瀕死の幼鳥を保護し、その後に死亡したものです。「へい死鳥獣拾得届」を東京都に提出し、剥製にする許可を得て収蔵しています。絶滅危惧種のため、ヒナの密猟など幼鳥の盗難を未然に防ぐ理由から繁殖地は口外しないことになっています。


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